2010年11月19日

きずな5

 ベジータはトランクスの瞳が常に何かを求めるような光を宿していることに気がついていた。しかしベジータはそれを無視していた。
(どうでもいい。ガキのことなんて)
 精神と時の部屋に入って1カ月半がすぎようとしていた。

「父さん……」
 食事をしていたベジータにトランクスはそう呼び掛けた。ベジータは「父さん」と呼ばれる度に違和感を覚えた。嫌でなない、しかし不可解な気持ちが沸き起こった。
 トランクスはこちらを見ようともしないベジータの前に座った。ベジータは視線をトランクスに向ける。鋭い視線だった。
 トランクスは深呼吸すると以前から聞きたいと思っていたことを聞くため、口を開いた。
「父さん、あのドクターゲロが母さんと僕が乗っていた飛行機を攻撃したとき、なぜ、助けなかったんですか?」
 ベジータはトランクスの問いに皮肉な笑みを浮かべた。
「くだらん。まだそんなことを考えていたのか。そんな馬鹿なことを考える余裕があるなら、超サイヤ人を超えることを考えろ」
 ベジータは食べ終わったリンゴの芯だけを投げ捨て立ち上がった。
「逃げるんですか?」
 トランクスは座ったままでベジータを睨んだ。
「あなたは僕達をどうでもいいと思ったんですか?死んでもいいと?」
「そうだと答えたら?」
 ベジータは皮肉な笑みを浮かべてそう答えた。
 トランクスの瞳に傷ついたような光を見えた。しかしベジータは構わなかった。サイヤ人の血を引いているのに、こんなくだらないことで悩むトランクスに苛立った。
「俺は強くなることだけに興味がある。最終目標はカカロットをぶち殺すことだ。それ以外のことに興味はない。誰が死のうが関係ない」
「このっつ!」
 トランクスは頭の中で何かが弾けるのがわかった。
(ずっと夢に見ていた。父親のこと。小さいころから父親を探していた)
 ベジータは超サイヤ人化したトランクスの攻撃から身を守るために、超化して応戦した。トランクスの怒りの拳がベジータを建物の外へ押し出した。
「あなたは僕の父さんじゃない。父さんなんかじゃないんだ!」
 トランクスはそう言って、ベジータに気を放った。ベジータは上空に飛んで逃げた。しかしその後ろにトランクスはすでに周り込んでおり、両手合わせその頭を叩きのめす。割れそうな痛みが走り、体が地面に叩きつけられた。
「ほう、やるじゃないか」
地面からゆっくりと立ち上がりながらベジータは笑った。額が少し切れ血が出ている。ベジータはその血を拭うと上空にいるトランクスに気を放った。


「っつ」
 ふいに紙が指に当たり、皮が切れたらしく血が出たのがわかった。
「ドクターゲロの紙の分際で」
 ブルマは設計図を破りたい衝動に駆られたがどうにか我慢した。人造人間の弱点が体に使われている金属部分を停止させることだということが分かった。そして今その停止装置を作るため、設計図を製作していた。
 ブルマは机の引き出しから、絆創膏を取り出しつけた。
「そういえば救急箱とか渡せばよかったかしら?」
(きっと二人は無茶な修行をしてるに違いないわ。特にベジータは加減というのを知らないから)
 ブルマはふと何度も重力室を壊したベジータの無茶さを思い出し、苦笑いを浮かべた。
(まさか、トランクスに深手を負わしたりしてないわよね‥千豆があるから大丈夫よね。それよりも、私は私のやるべきことをしなきゃ)
 ブルマは背伸びをすると再びパソコンに向かった。


「父さん!」
 大量の気がベジータに向かって放たれる。
(こんな力があったとは!)
 ベジータは両手で気を防御した。そしてすぐ側に気を感じ、体を反らせて攻撃を避けた。
「最初から、その力を見せておけばいいものを」
 怒りのトランクスの攻撃はベジータに余裕を与えなかった。
 気がまた放たれる。ベジータはそれに気を打ち返しながら同時にトランクスに向かって飛ぶ。そして拳を浴びせた。
 トランクスの体は宙を舞うが、地面に激突することはなかった。きれいに着地すると上空のベジータを睨みつけていた。
 トランクスの心の叫びが聞こえるようだった。
 トランクスはベジータに父性を求めていた。
 しかし戦闘民族のサイヤ人であるベジータにはそれがどういうものがわからなかった。そしてわかりたくもなかった。




posted by ありま at 17:45| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きずな 作者のつぶやき2

こんにちは。
なんだか、ベジブルっていうかベジータとトランクスの話になりそうな予感が‥
ベジブル絡みが少なすぎっす。。

あ、連日の訪問および拍手コメントありがとうございます!

元気でます!

今回はなんだかかなり短めに終わりそうです。
しかもトラが邪魔‥

それでは。
ありま氷炎 拝

posted by ありま at 13:00| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きずな4

「もう頭にくるわね!」
 ブルマは苛立ちまぎれに机を叩いた。しかしトランクスが起きて泣き叫ぶことはなかった。何度か苛立ち紛れに机を叩き、トランクスを起こしていたので気を利かせてブリーフ博士が部屋にゆりかごごと部屋に連れ帰ったのだ。
「なんて複雑なものを作るのよ」
 ブルマは鉛筆を片手に椅子に深く座り込んだ。灰色の研究室を見渡す。そしてふと壁にかかっている戦闘服に目を止めた。
(確かこの服って戦いやすいって言っていたわよね。しかもこの間見たとき、ベジータの服がぼろぼろだったし。きっとまた修行して戦闘服がどうしようもなくぼろぼろになりそうね)
 ブルマは椅子から立ち上がり、壁にかかっている戦闘服を掴むと会社に向かうために研究室を出た。
(会社の設備を使えば、時間が節約できるかもしれないわ)

 研究室を出ると眩しい太陽の光が目に刺さる。
(この空のもとであの二人仲良く修行してるかしら)
 ブルマは二人に思いをはせ、青い空を眩しそうに見上げた。ブルマはこの時、二人が神様の神殿の中の精神と時の部屋にいることを知らなかった。そしてトランクスがベジータに対して怒りにも似た焦燥感を感じていることを知らなかった。

「くっつ」
 トランクスはベジータが放った気を両手で受け止めた。
「甘い!」
 ベジータはすかさずその後ろに回り、拳でトランクスをついた。ふいをつかれてトランクスは地面に叩きつけられる。
 ベジータは冷たい眼で地面に伏せるトランクスを見つめていた。
「そんなごときじゃ、俺の相手にもならんな」
 トランクスは唇の血を拭うとベジータに気を放った。そして飛び上がる。しかし、そこにベジータの姿はなかった。
「だから甘いんだ!」
 ベジータの蹴りがトランクスの背中を襲い、再びその体が地面に激突した。
 
 吹雪が建物の外に見える。
 ベジータとトランクスは建物の中で食事をしていた。建物内に長持ちしそうな食料があったが、ブルマが届けてくれた食料を二人はまず食べていた。ブルマは料理が苦手なのでハムやゆでたジャガイモなど料理と言えないものがカプセルに詰めてあった。それでも建物内の食事よりは新鮮でおいしかった。
 トランクスはベジータの顔と見つめた。相変わらず眉間に皺を寄せて無言で食べている。
(母さんはこの人のどこがよかったんだろう)
 トランクスはなぜブルマはベジータに惹かれたのかわからなかった。
(俺なら悟空さんの方がよっぽどいいと思うんだけど。強くて優しい悟空さん)
 トランクスはそんな悟空に愛される悟飯がうらやましかった。
「なんだ?食べないのか?トレーニングを再開するぞ。」
 ベジータはトランクスを一瞥すると席を立った。そして、建物の外の吹雪が吹く場所へと歩いていった。
トランクスはハムやパンを急いで食べるとベジータの後を追う。
 白い世界の中に金色に輝く二人の姿が際立つ。風も雪も二人には近づけなかった。

「悟飯さん。悟飯さんは僕のお父さんに会ったことがあるんですよね」
 トランクスは師匠である悟飯にそう尋ねた。
「あるよ。誇り高い、強い人だった」
 悟飯はトランクスに笑顔を向けそう答えた。そしてその頭をやさしく撫でた。
「俺の父さんもベジータさんには一目を置いていた。二人はいいライバルだった」
 トランクスは悟飯の瞳に寂しそうな光が宿るのがわかった。
「さあ、修行しよう。人造人間達を倒すんだ」
 悟飯は立ち上がるとトランクスに厳しい顔を見せた。
(そう僕達はみんなのために、この世界を変えるために強くなるんだ)
 トランクスは表情を厳しいものに変えると腰を上げた。
(13歳の時だった。悟飯さんに弟子入りをして修行した。でも、悟飯さんは僕を庇って死んでしまった。
つらかった。僕は夢にみていた父親像を悟飯さんに重ねていた。優しくて強い悟飯さん……)

 目を開けると白い天井が見えた。ベッドに寝かされてるのがわかる。
(いつの間に……)
 ベッドから降り、建物の外に出る。
 吹雪はすでにやみ、温かいというか熱い空気がトランクスを包んだ。

「父さん……」
 ベジータが超サイヤ人化し、蹴りや突きを繰り返していた。
 トランクスは瞬時に超サイヤ人になると、ベジータに向かって飛んだ。
「やっと気がついたか」
 ベジータはトランクスに気づくと、気を放った。


posted by ありま at 12:35| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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