2010年07月11日

帰ってきた男3

(何、考えてるのかしら?)
 ブルマは研究室の窓から外をぼんやり見ていた。
 外ではヤムチャがプーアルたちとトランクスの子守をして遊んでいる。声が聞こえないがトランクスはきゃっきゃっと楽しそうな様子だった。
 ヤムチャが遊びにきて1週間がたとうとしていた。彼はトランクスが起きてる時は積極的に
遊んでくれた。トランクスも最初は人見知りしていたが今では楽しそうに遊んでいる。
(まさか、よりを戻したいとか思ってるのかしら?)
 ブルマはふとそんなことを考えた自分に笑いがこみ上げてきた。
(まっさかあ。私ももう人妻だし、ありえないわよ)
 正確には妻にはなっていないのだか、ブルマはそう勝手に結論づけて中断していた作業に集中した。
「ヤムチャ、お前。トランクスとずっと遊んでるけど父親になろうとか思ってないだろうな?」
 ウーロンがトランクスを背中に乗せてお馬ごっこしてるヤムチャにたずねた。ヤムチャは答えずただトランクスと遊んでいる。
「やめたほうがいいぜ。俺は大歓迎だけど。あのべジータが黙ってないと思うぜ」
 ウーロンはそう言って、ヤムチャの背中からトランクスを下ろした。トランクスは遊びたりないらしく、不機嫌そうな顔をした。
「今度は俺が遊んでやるぞ」
 ウーロンは小さい体でトランクスを抱きかかえた。プーアルが心配そうに見ている。
「心配するな。ヤムチャたちが来る前はいつも俺がお守りをさせられてたんだぜ」
 ウーロンは慣れた手つきでトランクスを両手で上に上げたり下に下げたりしていた。トランクスはその動作が好きらしく楽しそうに、きゃっきゃっと笑い出した。
(父親か。慣れるものならなりたいけどな)
 心の中でそうつぶやいてヤムチャは研究室で作業をしているブルマを窓越しに見つめた。

「ねぇ、ヤムチャ、いつまで滞在するつもりなの?」
 トランクスが寝た後、ブルマはヤムチャを誘ってキッチンで話をしていた。まだ母乳の時期なのでさすがにブルマもお酒は飲んでいない。
「う〜ん、あと1週間くらいかな。邪魔か?」
「邪魔じゃないんだけど。修行しなくていいの?」
 ブルマはオレンジジュースを片手にそうたずねた。
「トランクスのお守りしてくれるのは嬉しいけど、パパはべジータだから。いい気持ちしないでしょ」
 そう言ってブルマはジュースを飲み干した。
「ブルマの子だからな。かわいいよ」
 ヤムチャはブルマに笑い掛ける。
「目以外はブルマ似だよな。悟飯の場合は悟空にそっくりだけど。サイヤ人でも遺伝の仕方があるんだな。そういえば尻尾がないよな。トランクス」
 ヤムチャがふいにそう言うとブルマが泣き出しそう顔になった。
「ブ、ブルマ。ごめん。俺、変なこと言ったか?」
 ヤムチャは動揺してブルマを見た。
「ち、違うの。トランクスはサイヤ人の血を引いてる証の尻尾が生まれたときからないのよ。べジータの子に間違いないのに。」
 ブルマはそう言うとはらはらと泣き出した。
「きっとそれでべジータは私が連絡しても無視するんだわ。自分の子とは思ってないから」
 ブルマは泣きながら続けた。
「ヤムチャ、なんでトランクスに尻尾がないのかしら」
 青い瞳に涙をいっぱいためて、ブルマはヤムチャを見上げた。その顔は初めて会ったときを思い出させた。ヤムチャはブルマは思わず抱きしめた。
「大丈夫。奴はそんなこと思ってないさ。連絡返さないのは奴の性格だろう?」
 ヤムチャはそう言って、指でブルマの涙を拭いた。
 二人の目が交差する。
(ブルマはいつまでもきれいだ。きらきらした宝石のようだ)
 ヤムチャはふとブルマにキスをしたくなった。
 ブルマはヤムチャの真摯な瞳に見つめられ、はっと我に返った。
「ごめん。ヤムチャ」
 ブルマはそう言ってヤムチャの腕から逃げ出した。
「都合のいいときだけ頼ってごめん。もう私寝るわね」
 ブルマは逃げるようにヤムチャに背を向けた。
「ブルマ!」
 ヤムチャはブルマの腕を乱暴に掴む。
「俺じゃだめなのか。俺はトランクスの父親になってもいいと思ってるし。ずっと一緒にいることもできる」
「ごめん。私はべジータが好きなの。例え彼が帰ってこなくても。べジータ以外じゃだめなのよ。」
 そう言ってブルマはヤムチャの手を振りほどくと、キッチンから走り去った。
(ごめん、ヤムチャ)
 ヤムチャはその姿を切ない目でただ見送った。
(俺じゃだめなのか……)



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2010年07月10日

帰ってきた男 作者のつぶやき@

こんばんは。
ありま氷炎です。
今夜と書きながら結局真夜中の更新になりました。
頭がぼーとしてます。

やっぱりヤムチャがいないと私はベジブル2次小説を進められないみたいです。

人造人間編直前なのでべジータがいつもにまして
クールです・・・

次回更新予定は明日10日の真夜中です。(11日の朝方ともいう)

これが持ちネタ最後になるので楽しんで書きたいと思ってます。

お立ち寄りいただいたすべての方に感謝しております。
ありがとうございます。

ありま氷炎 拝


posted by ありま at 02:58| Comment(0) | DB 2次小説 人造人間編前 前夜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

帰ってきた男2


「ふう……」
 ブルマは固定カメラのスイッチを切るとため息をついた。
「トランクス。今日もお父さんは何も言わなかったわね〜」
 腕の中のトランクスにブルマはさびしそうに笑いかける。 トランクスはブルマを慰めるようにその小さな手でブルマの
顔をなでた。
「大丈夫、大丈夫!そのうち帰ってくるわよ」
ブルマは自分を元気づけるようにそう言って、トランクスをぎゅっと抱きしめた。
「さあて、お風呂でも入って、お昼寝しようね〜」

「おかしいな」
 ヤムチャはカプセルコーポレーションの邸宅前にいた。
「ヤムチャ様、お久しぶりです」
 受付ロボットがいつものように顔を瞬時で識別してそう言い、ゲートを開けた。ヤムチャはプーアルと共に門をくぐりながら首をかしげていた。
「どうしたんですか、ヤムチャ様」
 そんな様子のヤムチャにプーアルが話しかける。
「べジータの気が感じられない。いないのか?」
「べジータさん、出て行ったんじゃないんですか?ヤムチャ様、待っていたかいがありましたね」
 プーアルは嬉しそうにそう言ったが、ヤムチャは表情を変えなかった。

「あ!ヤムチャじゃない。久しぶり。元気だった?」
 ロビーに着くと、ブルマが声を掛けてきた。その腕には目つきの悪い赤子が抱かれている。
「ブ、ブルマ。その赤子は?!」
 ヤムチャは動揺を隠せず、素っ頓狂な声でたずねた。
「ああ、トランクスよ。かわいいでしょ。目つきがべジータに似ててちょっと無愛想だけど」
 ブルマはにっこりを微笑んでそう答えた。
(こいつら、そこまで進展したのか……。べジータの野郎。興味ないとか言いやがったくせに)
 ヤムチャは憤りのない思いを抱えて黙ってしまった。それを横目にプーアルが言葉を続ける。
「それでべジータさんはどこにいるんですか?結婚したんですよね?」
 プーアルの言葉にブルマは一瞬間を置いた後、笑いながら言った。
「してないわよ。べジータは今宇宙でトレーニング中よ」
 ヤムチャはブルマの答えに顔を上げた。その顔に怒りが浮かんでいる。
「あの野郎。何考えてるんだ。ブルマはそれでいいのか?」
「よくないけど。しょうがないわよ。べジータだもん」
 ブルマはそう言ってトランクスを抱きしめた。腕の中のトランクスが少し苦しそうな表情をして、泣き出した。
「ごめん、ごめん。トランクス。お母さん、力から入れすぎちゃったわね」
 泣き叫ぶトランクスをなだめるため、ブルマはヤムチャに背を向けてあやし始める。
(すこしもよくないじゃないか)
 ヤムチャはブルマの後姿を見ながらそう思った。ブルマと別れた後、ヤムチャは修行してたせいもあるのだが
結局誰とも長く続かなかった。
 やはりブルマのことが忘れられなかったのだ。

「ブルマ、俺、少しの間、ここに泊めてもらってもいいか」
 ヤムチャの突然の言葉にブルマは一瞬考えた。
「いいわよ。でも別館に泊まってよね」
 ブルマは振り返ってそう答えた。
 腕の中のトランクスは泣きつかれたのか、気持ちよさそうに眠っていた。
posted by ありま at 02:30| DB 2次小説 人造人間編前 前夜 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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