2010年07月28日

「迷い17」カエルトコロ8.5 番外編

 それから1カ月……
 ベジータはいつもの滝壺に来ていた。1か月前の怪我はほとんど治っており、体に数か所に傷跡が残ってるだけだった。
 この1カ月、ベジータはただ傷を治すことに専念していた。メディカルマシーンのない場所での怪我の手当てはフリーザの元にいたことに自分で習得していた。治りは遅いが後遺症などは残ってなかった。
 ベジータは戦闘服を脱ぎ捨てると滝壺に飛び込んだ。
 冷たい感触が体全体を包む。
(1か月間、トレーニングらしいことがまったくできなかったな。まったく忌々しい。時間を無駄にした。殺してしまえばよかったな。トレーニングにはならんが、腹の虫が収まったかもしれん)
 水の中でそんなことを考えていると、
 ふと強い気を近くに感じた。
(全部で3つだ!)
 ベジータは急いで水面に上がり、戦闘服を装着した。
 上空を見上げると、超サイヤ人の悟空がピッコロと悟飯を相手に組み手を繰り広げていた。
(ちっ)
 ベジータは忌々しげに舌打ちをしたが、その3者の動きから目が離せなかった。
(ナメック星人の野郎も戦闘力を上げてやがる。カカロットのガキもだ)
 ベジータは拳を握りしめた。
(そして一番気に食わないのはカカロットの野郎だ。力を完全に抑えているのに、二人の攻撃を軽くかわしている。これだけの気を発しながら、まだ序の口なのか!
 くそったれ!)
 ベジータの握りしめた拳から血が滴り落ちる。
(くだらん考えで時間を費やしてる暇はない。確か、あのクソガキがブルマの家の宇宙船が完成してると言ってたな。早く宇宙に行って、もっと腕をあげてやる。超サイヤ人になれば、カカロットより俺の方が強いに決まっている)
 ベジータはそう決断すると一直線に西の都に向かって飛んだ。









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2010年07月27日

「迷い16」カエルトコロ8.5 番外編

 何かが爆発した音がした。
 家の外に出ると山の一部が燃えているのが見えた。
「ホーロイ、まさか……」
 シェリンプはホーロイの顔を見つめた。ホーロイも同じことを思ったのだろう。
「とりあえず見に行こうか」
 ホーロイはそう言ってシェリンプの頭をやさしく撫でた。
 シェリンプはベジータが怖かった。
 本当のところ関わりたくなかったのだが、心配せずに居られなかった。

「やっぱり……」
 火事の原因は宇宙船の墜落だった。宇宙船は元の形が残らないほどばらばらになっていた。
 修理は完璧だった。
 多分、シェリンプを襲った奴と同じ奴がベジータの乗っていた宇宙船を襲ったのだろう。プラウ星人の乗る宇宙船は宇宙海賊の格好の餌食だった。まさか海賊もサイヤ人が乗ってるとは思わなかっただろう。

「くそっ」
 ベジータの声が聞こえた。
 瓦礫の中から手が出て、その後ベジータの体が現れた。
「ちっ、貴様らか」
 ベジータは二人の姿を見ると嫌そうに舌打ちをした。
 しかしその視線には力がない。宇宙船ごと地球に墜落して、体がバラバラになっていないだけ、奇跡的である。

「ベジータさん」
 シェリンプがベジータに走り寄った。
「俺に近づくな!」
 ベジータはそうシェリンプを怒鳴りつけたが声に力はない。
 そして自分で歩こうと体を起こすが、その場に倒れこんだ。
 シェリンプはベジータを助け起こそうと近づき、ふいにベジータの力のない瞳を
見つめてしまった。すると、シェリンプがブルマの姿に擬態する。
「くそっ、また擬態しやがって」
 ベジータは舌打ちをし、シェリンプを睨む。しかしシェリンプはブルマの姿のまま、ベジータの体を抱き起こそうとした。
「俺に構うな!」
 ベジータは自分を掴んだシェリンプの手を振り払った。
「でも、このままじゃ死んでしまいますよ」
「貴様の世話になるくらいなら、死んだほうがまし……だ」
 ベジータはそう言うと、意識を失った。

 目が覚めるとクリーム色の天井が見えた。
 体を起こそうとすると全身に痛みが走った。
 周りを見渡すとベジータは自分がどこにいるかわかった。
(くそ、あの地球人の家か)
 しかし二人の姿は見えなかった。
 ベジータは全身の痛みに耐えながらベッドから立ち上がり、椅子にかけてる戦闘服を握りしめた。体に丁寧に巻いてある包帯を解く。まだ乾き切っていない、血がにじむ傷口が現れる。しかしベジータは構わずぼろぼろになった戦闘服をその上に着た。
 そしてドアから出ようとすると、シェリンプとホーロイに鉢合わせた。
「ベジータさん、安静にしないと!」
 シェリンプが慌ててそう言った。
「ふん。言っただろう。貴様らに世話になるくらいなら死んだ方がましだ」
 ベジータは鼻を鳴らすと、二人の間を通り、家の外にでた。
「べ、ベジータさん!ブルマさんの家に戻ったらどうですか?宇宙船はほぼ完成してましたよ!」
 シェリンプはベジータが少しでもブルマさんの所に戻る気になるようにベジータの後ろ姿に向かって叫んだ。しかしベジータは後ろを振り返ることなく山中に消えていった。
(あの人はどうしてあんなに意地っ張りなんだろう。あの傷では大変だろうに……)
 心配そうに外を見つめるシェリンプにホーロイは穏やかな頬笑みを浮かべた。
「心配ない。彼ならあの傷でも大丈夫だろう。そのブルマさんという人の家にもそのうち戻るに違いない」
 ホーロイはそう言ってシェリンプを優しく抱きしめた。その胸に抱かれながらシェリンプはブルマのことを考えずにはいられなかった。
(いつか、ブルマさんの思いが通じますように……)



posted by ありま at 15:30| DB 2次小説 人造人間編前A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「迷い15」カエルトコロ8.5 番外編

「完成しました」
20分後、シェリンプはそう言ってベジータは見た。ベジータは視線を合わせないように宇宙船に近づいた。
「予定より早かったな。使い方はどうなんだ?」
ベジータの問いにシェリンプは飛び方、軌道の設定の仕方、など宇宙で飛行するためのこと教える。
「一通りのことはわかった。もう貴様に用はない」
 シェリンプはベジータの言葉に体を硬直させる。それを見てベジータは皮肉な笑みを浮かべた。
「予定より早めに終わったから今回は見逃してやる。せいぜいあの地球人と仲良くやるんだな」
 ベジータはそう言って、コックピットに飛び乗り、宇宙船のエンジンをスタートさせた。
 轟音がして、宇宙船が徐々に宙に浮かびあがる。そして光と共に空に消えた。
(行ってしまった。ブルマさんを置いて……)
 シェリンプは心の中でそう呟き、ベジータの消えた空を見上げた。


 宇宙空間に出て、ベジータの気持ちは高揚していた。
(やはりこの空間が俺の戦闘本能を刺激する)
 ベジータは目の前のパネルの一番右側を押した。すると銀河系の地図が浮かび上がる。
 シェリンプの母星は太陽系ではないが、同じ銀河系に属していた。プラウ星人の科学技術力はほぼツウル星人と同じレベルであり、宇宙船の地図は銀河系を網羅していた。
(奴の惑星には興味はないな。他の惑星はないのか)
 ベジータはフリーザの元にいたころに習得した銀河系の惑星の名前を思い出そうと地図を検索していった。
「あったぞ」
 ベジータは銀河系の果てにあるコーン星を見つけた。
(確かそこそこの戦闘力を持つものがいた気がする)
 ベジータは軌道をコーン星へ変え、宇宙船を再び発進させようとした。
「?!」
 発進させるボタンを押そうとすると後ろに衝撃をうけた。目の前のレーダが後方に別の宇宙船、戦闘機が2機いるのを示していた。
「クソっ」
 この宇宙船には武器になる整備がない。しかも宇宙空間では地球人と同じでサイヤ人は活動できないのだ。
ベジータは発進ボタンを再度押した。しかし反応はなかった。
「くそったれ!」
 戦闘機からミサイルが発射されたのがわかった。ベジータは宇宙船の舵を右側に切る。ミサイルの一つが宇宙船の左側をぎりぎりかすむ。
「なに!?」
 もう一機の戦闘機が別のミサイルを発射する。ベジータは舵を切るが間に合わなかった。宇宙船の右側の小さな翼に衝突する。爆発音がし、ベジータの体がコックピットに激突した。が、幸運なことにコックピットのガラスは割れなかった。
「くそっ!」
 ベジータは額から流れる血で視界が霞む中、自分の体が宇宙船とともに落ちていくのがわかった。
(地球に逆戻りか)
 ベジータは体全体にかかる重力の中、自虐的な笑みを浮かべた。

posted by ありま at 09:00| DB 2次小説 人造人間編前A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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