2010年06月19日

永遠の片思い13

「おい、ブルマ!ヤムチャ、出て行ったぜ!」
 ウーロンがノックもせず突然部屋に入ってきた。しかし薄暗い部屋でうずくまるブルマを見て、あわてて部屋を出ようとする。
「ウーロン!勝手に部屋に入らないでって言ってるでしょ!」
 ブルマはいつものような調子でウーロンを叱り飛ばした。
「だってよ。ヤムチャのやつ、プーアルと出て行ったぜ。あれは普通の外出と違う雰囲気だった」
 ブルマの気丈な様子に大丈夫だと判断して、ウーロンは部屋を出るのをやめて言った。
「ヤムチャも修行の旅に出たんでしょ。この家にいたって大した修行はできないし」
「でもさ、べジータはいるぜ。まあ、重力室使ってるけどな」
「べジータはべジータ、ヤムチャはヤムチャでしょ」
 ブルマはベッドからおりてカーテンを開けた。
 明るい光が一斉に入ってくる。
 ブルマの泣きはらした目にその光はあまりにもきつい。しかし彼女は気にしない様子でまぶしそうにしただけだった。
「私もがんばらないと」
 先ほどのしおらしさを微塵も感じさせない様子でブルマは窓を背に立つ。
「ブ、ブルマ」
 なぜかウーロンがうれしそうな顔をしてこっちを見てる。
 はっと気づくと赤いドレスの胸元が解けて豊満な胸を包んだブラが見えてる。
「ウーロン!何みてるのよ!早く出て行ってよ!」
 ブルマはクッションをウーロンに投げつけると慌ててベッドのシーツで胸元を隠した。
「まったく、油断に隙もないんだから!」
 ブルマはそう言いながら外に目を向けた。
(3年後、3年後私はどうなっているかしら。とりあえず、できることはしておかないと)

 その翌日からブルマは精力的にブリーフ博士を手伝うようになった。べジータは相変わらず重力室へ篭もり、お腹がすいたときだけ姿を見せるだけだった。

 ある時、ふと研究室の窓から(べジータが壊した壁にガラスの窓をつけることにした)重力室を見てブルマはふと思った。
(あいつ、シャワー浴びてるのかしら?いつも同じ戦闘服をきて、トレーニングしてるみたいだけど)
 ブルマの母がたまにべジータに会うといろいろ服を出してるみたいだが、いつも無視されてるらしい。
(戦闘服ってどんな技術が使われるのかしら?サイヤ人の技術って高いのよね。)
 正確にはサイヤ人の技術ではないのだか、ブルマは科学者として興味を持った。そして思い立ったら吉日と、ブルマはべジータの重力室へ向かった。

「べジータ、べジータ!」
 呼んでも答えない。仕方ないのでブルマは強制的に重力を0にした。
「き、貴様!」
 べジータが怒り心頭の様子で出てきた。
「く、くさい!」
 ブルマはぼろぼろの戦闘服を着たべジータを見るなり、そう言った。
「き、貴様、邪魔をするな。ぶっ飛ばされたいのか?!」
 べジータは少し赤くなり叫んだ。
「ねえ、べジータ、新しい戦闘服ほしいでしょ?」
 ブルマの突然の申し出にべジータの動きが止まる。
「ちょっと来なさいよ。私が新しい戦闘服作ってあげる。ついでにシャワーも浴びるといいわ」
「ふん、貴様ら地球人の技術ごときで作れるわけがない。」
 べジータはいつもの不遜な態度でそう答えた。
「この私を誰だと思ってるのよ。地球一かわいくて頭のいいブルマ様よ。見本があれば作れないものはないのよ」
 ふふんと腰に手を当てて、ブルマは言った。
「さあ、どうだかな。貴様に作れるとは思わないが」
 べジータは腕を組み、皮肉な笑みを浮かべた。
「あ、そう。欲しくないの?人造人間とは何を着て戦うの?裸??」
「な、なに?!」
 べジータは握り拳を作ってブルマをみた。
「ほら、ついて来て。研修室の横のシャワー室へ案内するわ」
「ちっ……」
 べジータは舌打して、ブルマについて研修室へ歩いていった。


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永遠の片思い12


 ヤムチャはいつものオレンジ色の道着に着替え、建物の外に出た。
「どうしたんですか?ヤムチャ様?」
 不機嫌そうなヤムチャを心配してプーアルが飛んできた。
「なんでもない」
 ヤムチャそう答えると気合を入れて、稽古を始めた。
「フッ!」
 拳を前に繰り出し、けりを数回入れる。
 体は動いているがヤムチャの頭の中はブルマのことでいっぱいだった。

ヤムチャはブルマがプロポーズを拒んだ理由が、その浮気癖だけではないことに気づいていた。

 しかしヤムチャはブルマを愛しており、問いただすことをしなかった。ブルマが傷つくのをみたくなかったからだ。
 だから知らないふりをした。だが、相手があのベジータだと思うと腹の中が煮え繰り返そうだった。

「おお、ヤムチャくん。精が出るね〜」
 いつものように暢気そうにブリーフ博士が声をかけてきた。どうやらベジータが壊した壁を修理してる作業ロボットの監督をしてるようだった。
「壁のほうどうですか?」
 ヤムチャは不機嫌な様子を見せないように、気をつけて尋ねた。
「そうだな。あと2時間くらいかな。本当ベジータくんは物を壊すのが好きだな。はっはっはっ」
 そう笑ってブリーフ博士は作業用マシンに近づき、何やら機械の調整をし始めた。
(本当、この人は暢気だな。あの短気なブルマの親とは思えない)
 ブリーフ博士から視線をそらし、ふとその横をみると ベジータがトレーニングしてるはずの重力室があった。
 ヤムチャは何気なく重力室を覗いた。中では包帯を巻いた痛々しい姿のベジータが汗だくでトレーニングをしてる姿があった。
(確か、重力400倍って言ってな)
 必死の形相のベジータにヤムチャは目が離せなかった。
(奴は悟空を超えることしか考えてない。強くなることしか考えてないんだ。それに比べて俺は……)
 ヤムチャはこぶしを握りしめ、決心したように顔を上げた。
「プーアル。修行の旅に出かけるぞ」
「ん?はい!」
 突然ヤムチャにそう言われ、少しびっくりしてプーアルが答える。
(ブルマはまだ自分の本当の気持ちに気付いてない。ベジータも女どころではないはずだ。間違いがあるはずがない。3年後、3年後に強くなってブルマを迎えに来よう)
ヤムチャはこの家に来たときを同じように何も持たず、プーアルを共に家を出た。

「待ってろよ。ブルマ」
 ヤムチャはそうつぶやいたが、そのつぶやきがブルマに届くことはなかった。

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2010年06月18日

永遠の片思い11

 ヤムチャが去った後、ブルマはひざをかかえ、子供のようにうずくまって座っていた。
 頬にはまだヤムチャの唇の感触が残っている。
(16歳のときから一緒にいたヤムチャ。ごめん……)
 ヤムチャの真摯な瞳を思い出す。
(結婚すれば幸せになれたかもしれないのに。私を一番に考えてくれたかもしれないのに。あの時、返事ができなかった。ヤムチャの瞳を見つめ返すことができなかった。拭いきれないヤムチャへの不信感。でも本当はそれだけじゃなかった……)
 ブルマの心にはかすかだが別の感情、ベジータへの不思議な感情があった。
 それがどんな感情だかブルマにはまだはっきりわからない。

 ただヤムチャに結婚しようと言われたときに、一瞬ベジータの顔が浮かんだ。
 ブルマ自身どうしてベジータの顔が浮かんだのかわからなかった。
 ただこのまま結婚してはだめだと思った。

 (だから自分が傷つくのが嫌で、ヤムチャにひどいことを言って別れを切り出した……。醜い。今でもヤムチャのことを愛してるのには変わりない。でもその愛情は前のものとは違っていた)

「ごめんね。ヤムチャ。許して」
 ブルマは顔を両腕にうずめて声を殺して泣いた。


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