2010年06月24日

永遠の片思い21

(何だって言うのよ)

ブルマは自分の感情がわからなかった。

(べジータが宇宙に行ってしまう。多分、戻ってくるのは3年後)

 ただそれだけなのに、その事実はブルマを途方もない闇に突き落とした。
 ブルマは自分の部屋に戻るとベッドに体を投げ出した。
 体も心も疲れていた。

(べジータが明日宇宙に旅立ってしまう。私の家からいなくなる)

 ブルマの瞳から一粒、涙が流れた。そして次々と流れ出し
 ベッドカバーを濡らした。

(くやしいけど、やっぱり私は奴が好きなんだわ)

 認めたくなかったが、ブルマはとうとう認めた。
 ヤムチャの結婚もべジータの存在があった、できなかった。

(どこがいいのか、わからない。)
 ただあの横柄な態度に隠されてるさびしそうな彼の姿に惹かれていた。

(馬鹿な私、彼を好きになっても報われるわけがないのに)

「ブルマちゃん、起きてるかしら?」
 ふいに母親の声が聞こえた。
 ブルマは泣いてるところを見せたくないので深呼吸して返事をした。
「どうしたの?お母さん」
 ブルマは顔をベッドカバーで乱暴に拭くと、スライドドアを開けた。
「あのね。お母さん、いいこと思いついたのよ。べジータちゃん、明日いっちゃうでしょ?最後にみんなで屋上で食事しないかなあと思って」
 ブルマの母は満面の笑顔でそう言った。
「いいけど。どうせべジータの奴はこないでしょ。主役がいないんじゃ意味ないじゃないの」
「いやーん。ブルマちゃん。べジータちゃんも参加するのよ」
 ブルマの母は嬉しそうに手を少女のように振った。そんないつまでたっても子供の母親の姿に唖然としながらブルマは答えた。
「べジータの奴が参加するとは思わないけど。いいわよ。暇だし」
「そう、決まりね!30分後に屋上来てね。」
母はスキップでもするように軽やかにステップしながらエレベータのある方向へ歩いていった。

「最後の晩餐ね……」
 ブルマはそうつぶやいて部屋に戻った。

 30分後、ブルマが屋上に行くと派手な飾りとライトが設置され、ブルマの母とお料理用ロボットたちが食事をテーブルに並べていた。

べジータはいた。いつもの不機嫌な顔をさらに不機嫌にさせていたが。
ウーロンはそのべジータの視線から逃れようと一番遠くの席に腰掛けていた。

「あ、ブルマちゃん。こっちよ!」
 ブルマの母はわざわざべジータの隣の席をあけて言った。
(いまさら断る理由もないし……)
 ブルマは素直に隣の席に座った。

 ブルマはべジータを見つめた。
 べジータはブルマの視線を無視して、食べ物に手をつけ始めている。
(べジータってやっぱりいい男よね。性格が悪いけど。極悪人というところを除くと私が今まで好きになった男で最高にいい男だわ)

 いつもの挑戦的な態度ではなく、ただ自分を見つめるブルマにべジータは違和感を感じ、ついに話しかけた。
「いつものへらず口はどうしたんだ?俺が宇宙に行くのがそんなにショックか?」
 べジータは嫌味な笑みを浮かべてそう言った。
「そうよ。悪かったわね」
ブルマの答えにべジータは意外そうに眉をしかめた。
「もう、いいわ。大人ぶるのはやめるわ」
 そう言ってブルマはそばにあったワインを一気に飲み干した。給仕用ロボットが空になったグラスに赤ワインを注ぎ足す。
「そうよ。悪い。私はあんたを好きなのよ」
 ブルマはべジータを見つめた言った。
(べジータを引き止めることなんてできるわけがない。だったら自分の気持ちに正直になるわ)

 そしてブルマはワインをまた飲んで言葉を続けた。
「好きになりたくなかったわ。いくら王子といっても戦闘民族のサイヤ人だし、野蛮だし。性格悪いし、
でも好きになってしまった」
 そうしてブルマは給仕用ロボットが注ぎ足したワインをまた飲み干した。
「あらあら、ブルマちゃん。そんなに急に飲んだら体に悪いわ」
 ブルマの母親が娘からグラスを取ろうとするが、ブルマは放さなかった。そして自分で赤ワインをグラスに注ぎ足す。
「ふん、くだらん」
 そんなブルマの様子にべジータはそう言ってその場から離れようとした。
「逃げる気?私が怖いの?本当は私の気持ちが怖くて宇宙に逃げるくせに」
「なんだと!」
 その言葉にべジータは怒声で答える。
 ウーロンはべジータの怒りから逃れるために机の下に隠れた。
 ブルマの母はおろおろして立ち往生している

「あれ、どうしたんだね」
 ブリーフ博士の暢気な声が緊迫する雰囲気を壊した。
「ちっ」
 べジータは舌打ちしてその場を飛び去ろうとした。
 がその瞬間、ブルマはとっさにべジータに抱きついた。
「どけ、女!」
「嫌。行かさないわ」
 ブルマはべジータを抱きしめる腕に力をいれた。べジータはブルマの腕を掴み、力ずくで放そうとしたが
ブリーフ博士が止めた。
「べジータくん、すまないが。その子を部屋まで送ってくれないかね。かなり酔ってるようだ。
宇宙船は出来上がってる。その後、宇宙でもどこでもいけばいい」
ブリーフ博士は穏やかに、だが懇願するように言った。
「ちっ、宇宙船はすぐ飛べるんだな」
「そうだ」
 べジータはブルマを抱きかかえるとブルマの部屋に向かって歩き出した。

 べジータは無言でブルマを部屋に向かった。
 べジータの抱えられてる間、ブルマも何も言わなかった。

「ほらよ。貴様の部屋だ」
 べジータはブルマの部屋の前でブルマを降ろした。
「名前で呼んでくれないのね」
ブルマは悲しそうにそう言った。
「さっきは悪かったわね。でも私があんたを好きだったことは本当だから。覚いといて」
「ふん」
 べジータはブルマを一瞥しただけで何も言わなかった。
「べジータ、最後にお願いがあるの」
「なんだ?」
 べジータが珍しくそう返事をした。
「ちゃんとしたキスをして欲しいの。キスだけでいいから」
 べジータはブルマの申し出を冷たくあしらおうとしたが、その濡れた青い瞳にとらわれた。
「いいだろう。最後だ」
べジータはそっとブルマの頬を両手で包むと、ゆっくりと唇を重ねた。それはとても短い間だったが、情熱的でやさしいキスだった。

 そしてべジータは、何も言わずブルマの元を離れた。


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2010年06月23日

永遠の片思い20

「おおい、ブルマよ。起きなさい。もう夕方だぞ」
 ブルマは聞きなれたブリーフ博士の声に起こされた。
 ぼーとしながらブルマが体を起こすと白衣姿の父がいつもの笑顔を浮かべて立っていた。
(あ、私、重力室で寝ちゃったんだ)
「お父さん、どうしてここにいるの?ベジータ見なかった?」
 ブルマの手には戦闘服がまだ握られていた。
「見たぞ。ベジータくんに頼まれてな。この重力室をまた宇宙船に改造するのだ」
「……」
 ブルマはブリーフ博士の言葉に声が出せなかった。
(ベジータ……。宇宙に行く気なの?)

「お父さん、ベジータは今どこにいるの?」
「多分まだ家の中にいるんじゃないかな。ベジータくんとはさっき話したばかりだから」
 そう聞くと、ブルマは乱暴に戦闘服を抱えると重力室を飛び出した。そんなブルマの後ろ姿をブリーフ博士は飼い猫の頭を撫でながら見送った。
「さてと、早く完成させないといけないだろうな。ベジータくん、かなり焦っていたからな」
 そう言ってブリーフ博士は飼い猫を肩の上に乗せると、動力元がある場所へ歩いていった。
(あいつ、どこにいるのよ!私は普通のレディーだから気を探るようなマネはできないのよ)
 ブルマは大股歩きで家中を歩き回った。
「ここにもいないわ」
 もしかしたらとベジータの部屋に来たが、ベジータどころか、何も変わった様子はなかった。
(あいつ、ここで寝たことあるのかしら?そう言えば寝てる姿と言えば、怪我して倒れてる時や重力室で疲れて寝てるときしかみたことないわ)

「そうだ、見つからなきゃ。ヤツに私を探させればいいのよ」
 ふふん、とブルマは意地悪く微笑むと窓を開けて大声で叫んだ。
「ベジータ!私が怖くて出て来れないの?戦闘服捨てちゃうわよ!」
 夕方のオレンジ色の空の下で、ブルマの声が甲高く響く。しかしベジータが来る様子はなかった。
「いいわ!捨てちゃうわよ!」
 ブルマが戦闘服を捨てようと手を振り上げた瞬間、腕を掴まれた。ベジータが窓の外からブルマの腕を掴んでいた。
「痛っ、放してよ!」
 するとベジータは腕を放した。
 掴まれた部分が赤く腫れてるのがわかった。
「か弱いレディーに何するのよ。いるなら早く出てきなさいよね」
 ブルマは赤くなった腕をさすりながらそう言った。
「まったくうるさい女だ。貴様と話す暇な時間はない」
 ベジータは宙に浮いたまま、いつものように腕組みをして言った。
「貴様って、ブルマって呼ぶ約束でしょ」
「ふん、」
 ベジータはブルマの言葉にただ鼻を鳴らしただけだった。
「ほら。あんたの戦闘服。私は約束どおり完成させたわ」
 ブルマは宙に浮いたままのベジータに服を渡した。
「中で試着したら?サイズは大丈夫だと思うけど、微調整するわよ」
 ベジータは手渡された戦闘服を一瞥した後、素直に部屋の中に入ってきた。
「外でトレーニングしてたのね。シャワー浴びた後、着てよね。微調整するなら汚れてないほうがいいし」
「ちっ。うるさい女だ」
「ブルマでしょ」
 ブルマは上目遣いで睨んだ。しかしベジータは当然気にする様子はない。
 ベジータはタオルを取ると、部屋に付属しているシャワー室へ入っていった。

 ブルマはベッドに腰掛けて、ベジータを待つことにした。
(本当、皺一つついてないわ。きっと使ってないのね)

 ブルマは真っ白なベットカバーをそっと撫でた。
 しばらくしてベジータが新しい戦闘服に身を包んで出てきた。

「どう?」
「特に調整する必要はないな。これならすぐ実戦で使えそうだ」
 ベジータが珍しく嬉しそうに言った。
「実戦?そう言えば、お父さんに重力室の改造を頼んだとか。宇宙に行くの?」
「そうだ。この地球にいてもろくなトレーニングができないからな」
 そう言いながらベジータは腕を回したりと動作を確認している。
「だが、人造人間とやらに興味があるから、そのときは戻ってくるつもりだがな。カカロットがそいつらを倒す前に、ます俺が片付ける」
「そう……」
 ブルマはベジータの言葉にそれだけつぶやき、うつむいた。
 ベジータは突然静かになったブルマに違和感を感じたが、それ以上何も言わなかった。すると、ふいにブルマは立ち上がり、ベジータに背を向けた。
「私は疲れてるから、宇宙船作りは手伝わないわよ。戦闘服だけで十分でしょ」
 背を向けたまま、ブルマはそう言って、部屋の入り口に向かう。
「お父さんなら明日には完成させると思うから、今日くらいこの部屋で休んだらどう?」
ブルマは部屋の入り口で振り返り、悲しそうな笑みを浮かべて部屋を後にした。

「あいつ、何だって言うんだ」
 ベジータは誰もいない部屋の中で一人つぶやいた。ブルマが最後に見せた表情が頭にこびりついている。(これだから地球人っていうのは。早くこの惑星を出なければおかしくなりそうだ。宇宙に戻るといつもの俺に戻れるはずだ)

 ベジータはブルマの香りが残る戦闘服に身を包んだまま、窓から空を見上げた。





posted by ありま at 13:00| DB 2次小説 人造人間編前@ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

永遠の片思い 作者のつぶやき

10年ぶりの執筆活動。
自分の文才のなさに恥ずかしくなりながら、
最後まで書き終わろうとしています。

19は時間設定を間違って、書き直しました。
素人だから許される訂正です。(笑)

「永遠の片思い」もあと少しで終わりです。
予想以上に長くなってしまいました。
きっと最後まで読んでくれる人はいないんだろうなと
思いつつ最後まで書き続けます。

この後はヤムチャの話でも書けたらいいなと思ってます。

懲りない作者。。

本当、2次小説って面白いですね!
ドラゴンボール改が早くセル編にならないかと
思ってます!
べジータにすこしは家族愛が芽生えるらしいです。

それでは
私のつたない小説をお読みくださってありがとうございます。

posted by ありま at 10:00| Comment(0) | DB 2次小説 人造人間編前@ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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