2014年11月18日

☆様とのコラボ作品「偉い学者さんとスーツの『男』」1/4

こんにちは。
魔師弟の幼児期を書いたら、反動がきて、大人魔師弟を書きたいとうずうず。
そこで目に止まった、☆様の大人魔師弟、スーツのピッコロさん……!
素敵なおやじ悟飯のイラストもお借りして、またまたコラボをすることにしました。


4564580_240ms.jpg

悟飯45歳のお話です。
飯ビー、恋愛要素を含まない魔師弟好きの方には痛い話なので、
読まないでくださいませ。
またGTは全く踏まえておりません。(見たこともないので)

興味ある方は下記からどうぞ。
「孫先生!」
 廊下を歩いていると、悟飯は明るい声に呼び止められた。振り返り、そこにいたのはくるりと巻いた金髪が可愛い女子生徒だった。
 大きな緑色の瞳に見つめられ、悟飯は誰だったかと、脳裏の学生名簿をめくる。
 数秒後、自分の担当ではなく違うゼミの生徒だと思い出した。
「えっと、カーリーさんだったかな?」
 名前はうろ覚えだ。
 でも合っていたらしい。
 女性は頬をピンクに染めて微笑む。
「覚えてくださったんですね。嬉しいです」
 この手の反応は大学に勤め始め、数多く経験しており、慣れてきていた。
 大学に勤め始めたのが三十五歳。助教授から始まり四十歳で教授になった。サイヤ人の血のため、現在四十五歳になるのだが外見はほとんど変わっていない。
 女子生徒の中には同年代の男子生徒ではなく、年上に興味を持つものがいる。しかし大概の教員は年上といっても外見が年老いている、もしくは恋愛対象にならない風貌ものが多い。悟飯のような若い外見、しかもハンサムの部類にはいる教授は珍しく、女子生徒に人気の教員だった。

「カーリーくん。カーリーくんじゃないか」
 悟飯がどう答えようかと迷っていると、男性にしては少し甲高い声が聞こえた。
「……ジェラ先生」
 声をかけてきたのはカーリーの担当教員のジェラだった。年齢はまだ40歳を少し過ぎたところなのだが、頭のてっぺんの髪は薄くなり、すこし小太りな男だった。今年この大学に配属された教員で、まだ講師の立場だ。
 悟飯と同じ植物生物学を研究しており、何かと対抗意識を持ったやっかいな男であった。
 カーリーは悟飯に見せた笑顔を消し、すこし引きつった顔をしてジェラを見ていた。カーリーの第一希望は悟飯担当のゼミだった。しかし、希望者が多く同じ専攻であるジェラのゼミに回されていた。
「何か孫教授に質問かな?君は私の生徒だ。孫教授はお忙しいんだから、手を煩わせたらいけないよ」
 ジェラは子どもに言い聞かせるように優しい声音を出す。
「ジェラ先生。私は別に質問なんて。ちょっとお見かけしたので声をかけただけです」
 好きではないといえども、ジェラはカーリーの担当教員で、卒業を左右する重要な人物だ。慌てて笑顔を作り、近づいてくるジェラを迎える。
「そうか。それならいいんだが」
「あ、いけない。ジャラ先生。孫先生。次の講義が始まるからもう行きます」
 わざとらしく腕時計を見て、カーリーは頭を下げた。そして小走りで悟飯たちの元を去る。
「孫教授。私の生徒に手を出したらいけませんよ」
 小柄な姿が視界から完全に消えた後、ジェラは隣に立つ悟飯に薄笑いを向ける。
「手を出す?おかしいことを言いますね。僕は何も」
「ふふん。孫教授は毎晩ご自宅にも戻らず大学にいらっしゃいますよね。教授の部屋を出入りする女子生徒もいるようじゃないですか?」
 ――くだらないことを。
 体内で怒りが渦を巻く。
 自宅に戻れないのは日中が授業、生徒への指導のため時間が割かれるため、研究が夜にしかできないからだった。出入りしている女子生徒は、着替えを持ってきたり何かと世話を焼いてくれる娘のパンのことに違いなく、悟飯は男のくだらない妄想に吐き気を覚えた。
 数年前レポトという嫌らしい男が去ったが、頭痛の種は消えることはなかった。ジェラのように下世話な噂話をするものから、教授の立場を妬む者。それらが常に悟飯に付きまとっていた。
 しかしレポトのように目に見える妨害をするものはいなく、証拠がないため悟飯はただ我慢するしかなかった。
 研究施設、費用のため、大学に留まっていたが、そろそろ精神的に限界が来ようとしていた。
「ジェラさん。私も講義の準備があるため失礼します」
 ――相手にしても仕方がない。
 悟飯は軽く頭を下げると、踵を返した。
 
  ★
 
「久しぶりだな」
 神殿に、一年ぶりに訪れた悟飯をピッコロは外で出迎えた。変わらないその姿に悟飯は安心感を覚えた。
 常に傍にいる。見えなくても気配を感じることがある。それくらいにピッコロは悟飯を見守ってくれていた。
 が、こうして直に会うのは久々で、悟飯は体内からじわじわと温かいものがせり出し、体全体に広がっていくのが分かった。
「少し痩せたな。……ミスターポポに食事を用意させる」
 動悸を増す悟飯とは異なり、ピッコロは淡々と言葉を口にする。背を向け歩き出したピッコロを、悟飯が呼び止める。
「ピッコロさん」
 体と心は食事を欲していなかった。ただ愛する人の温もりが欲しいと、ピッコロを見つめた。
 心が擦り切れるまで我慢した一年。この日を迎えるために日々を過ごしていたといっても過言がなかった。
「悟飯……」
 ピッコロは、悟飯の傍に戻るとふわりと頭を抱く。
「ピッコロさん」
「食事を先にしろ。後でゆっくり話を聞いてやる」
 涙で瞳を潤ませる悟飯にそう言い、ピッコロは離れる。そして、ついてこいと神殿の中に消えた。


「悟飯さん!」
 食卓のある部屋に着くと、そこにはデンデの姿があった。背丈はすでに悟飯より高く、出会ったころのピッコロを思い出させる。
「お久しぶりでしたね。元気でしたか?」
「うん。デンデも元気そうだね」
「はい」
 デンデと初めて会ったのは前のナメック星だ。ピッコロを生き返らせるために向かい、そこで小さなデンデと会った。あの時は五歳の悟飯よりもすこし小さく、大人に囲まれていた悟飯にとって初めてできた子どもの友たちだった。
 結婚してからは神殿に訪れる機会が減ってしまったが、会うたびにデンデに貫禄が増している気がしていた。
「悟飯。食べないのか。これ。ポポ。自信作」
 箸をなかなか持たない悟飯にミスターポポがその大きな瞳を向ける。
 何十年、何百年も姿を変えていないだろう、ミスターポポ。
 神殿に住む人々は、ピッコロを始め悟飯に癒しをもたらせた。
「ポポさん。すみません。美味しそう!いただきます!」
 手を合わせそう言うと、悟飯は食べ始める。
 食欲はないはずだった。しかし、サイヤ人の本能か、気が付くとすべて食べ終わっていた。
「御馳走様です。ポポさん。美味しかったです」
「そうか。ポポ 嬉しい」
 ミスターポポは無表情だが、食器を片づける手際が軽く、喜んでいるようだった。
「悟飯さん。今日は泊っていかれますか?」
「うん。そのつもりだけど」
 一年の一度だけ、神殿に泊まる。悟飯とピッコロとの絆を、家族も理解しており、このことは恒例の行事となっていた。
 絆、師弟としての絆。
 悟飯とピッコロの間に流れるものはそれ以上のものがあったが、それを説明する必要はなかった。すれば、家庭は崩壊し、ピッコロが心を痛める。
 現にこうして、一年に一度悟飯が神殿に泊まる行為すら、ピッコロは積極的に認めていないように思えた。
「ポポさん。客室の準備をお願いします。悟飯さん。シャワーでもゆっくり浴びてください。それまでに部屋を整いて置きますから」
「ありがとう」
「それでは。僕も部屋に戻りますね」
 気を使われたのか、デンデはにこりと微笑むと席を立つ。ミスターポポはいつの間にか食器をすべて片付けており、デンデの後を追いかけるように、部屋を出ていった。

「……気を遣ってくれたんでしょうか?」
「さあな。デンデが言ったようにシャワーでも浴びろ。その服は窮屈そうだぞ」
「窮屈。確かに窮屈ですね。大学という場所はこういう服をいつも身につけないといけないんです」
「どうしてだ?」
「教員らしい服装ということでしょうか」
 教員、自分が目指したのは学者であって教員ではない。
 悟飯は自分の立場を思い苦笑する。
「……大学という場所をやめることはできないのか?」
「できますよ。でも研究が続けられなくなるんです。今の僕に資金と施設を貸してくれる研究所なんてないですから」
「……そうか」
「ピッコロさん。キスしてください」
「……なんだ。突然」
「僕疲れているんです。だからあなたのキスが欲しい」
「よくわからんな」
「わからなくてもいいです。今日は一年に一度の恋人の日ですよね」
 無茶苦茶なことを言っているのはわかっていた。でも今すぐピッコロの息吹を感じ、自分のものにしたかった。
「……約束だからな」
「はい。約束です」
 ピッコロは小さく息を吐くと、腰をかがめた。そして悟飯の唇に自分のものを重ねた。


「……ピッコロさん!」
 翌朝。
 目を覚ますと隣に寝ていたはずのピッコロの姿が見えず、悟飯は勢いよく飛び起きる。
「ここだ。お前は子供か」
 呆れたように窓際に立っていたピッコロは目覚めた悟飯に笑いかける。
 笑顔、相変わらず口元を少し持ち上げるだけの笑顔だが、その笑顔を見て悟飯はうれしくなった。

 恋人の日といえども、二人の関係はキスから進展していない。
 ピッコロが拒否するからだが、悟飯も自分の立場を考え無理強いもしなかった。

 ただ、キスだけでは物足らず、添い寝だけは恋人の日の条件に入れてもらうようにしていた。

「朝食ができてる。食べてから大学へ行くがいい」
「はい。ありがとうございます!」
 浴室へ行き、まずはシャワーを浴びた。歯磨きもそこで済ませ、出てくるとピッコロがまだ部屋にいて、悟飯は驚いた。自宅ではないので、寝間着用のTシャツと短パンは着ていた。そのことにほっとしつつ、なぜだろうと首をかしげる。
 ぴっつ、細長い指をピッコロが悟飯に向け、身に着けていた服が変わる。
「ピッコロさん!」
「昨日着ていたものだと汚れているだろう。同じような服装にしてみたが、どうだ?」
 こうしてピッコロから服を贈られるのは、十数年振りだった。
 肌触りが抜群の白いシャツに、濃紫色のズボン。道着を着ているような柔らかさに悟飯は、ピッコロの優しさを感じる。
「窮屈さが少しでも減ればと思ったが、やはりそれではまずいか?」
「いえいえ、最高の着心地です!ありがとうございます」
「そうか、ならいい」
 顔いっぱいに微笑みを浮かべる悟飯に背を向け、ピッコロはあっさり部屋を出ていこうとする。
「ピッコロさん!」
「なんだ?」
 本当はギュッと抱き付きたい、そんな思いに駆られるが恋人の日が終わった今日、嫌がるに違いないと悟飯はあきらめる。
「本当にありがとうございます。助かります」
「……ああ」
 ピッコロは一瞬間を置いてから返事をすると、悟飯を先導するように外に出た。


posted by ありま at 12:35| Comment(0) | 魔師弟 その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。