2013年09月12日

『永遠の片想いーヤムチャ3』完結

こんにちはー。
さびしくなりますねー。

これですべてのSSは出し切りました。(いや、4年前で新作ではないのですが)

新作を書くことがあるのかーと思いつつ、書いたらまた更新しますね。

それでは興味のある方はどうぞー

ありま氷炎
 

甘い香りがする。
 青い髪が見える。
 ヤムチャはその長い髪の毛に手を絡めた。

「ブルマ……」
 そう囁いて、女の顔を見てヤムチャは目を見開いた。

「その女はあんたの前の女かい?」
 青い、ブルマと同じ色の髪の女はベッドから少し体を起して聞いた。
 その顔は造りはいいが、けだるそうな夜の女の顔だった。そして、その白いしなやかな肢体には何も羽織っておらず、ヤムチャは視線逸らさずにはいられなかった。
 そんなヤムチャの様子がおかしいようで女は笑う。
「あんなに愛し合ったのに、おかしいね」

 ヤムチャには覚えがまったくなかった。
 酒におぼれて、ブルマの髪を持つこの女を抱いてしまったらしい。

 自分の行為を少し恥じながらヤムチャは無言でベッドから起き上がり、床に落ちている自分の服を纏った。

「つれないね。もう行くのかい?もう少しゆっくりして行かないの?」
 女はヤムチャの背中に向かって問いかけた。
「すまない。昨日のことは忘れてくれ」
 ヤムチャは女を再度見ることはなく、それだけを言いドアを開ける。
 
 下の階に下りるとそこは小汚いバーだった。

「ヤムチャ様!」
 プーアルがヤムチャの姿を見かけると嬉しそうに飛んできた。
 
 どうやら昨夜はここで記憶が無くなるまで飲んだらしい。
 そしてあの女を抱いたらしい。
 情けないことだ。
 髪の色が似てるというだけで抱いてしまった。
 あの女を抱いている時、自分は幸せだったのだろうか。

 馬鹿な考えだ……

 ヤムチャはそんなことを考えてた自分に対して冷笑を浮かべる。
「プーアル、行くぞ」
 そしてプーアルにそう声をかけると店を出た。

 朝日がヤムチャの目を刺激した。

 人造人間が現れる日まであと少しだ。
 そしてブルマに再会する日も近い。

 諦めきれない、忘れられないブルマへの思いに苦笑しながら、ヤムチャは朝日を背に西の都に向かって歩き出した。


 * * *

 人造人間が現れる当日の朝、ヤムチャはブルマの家の前に来ていた。
 いつもの通り受付のロボットがゲートを開ける。

 キッチンにいくとブルマはトランクスに離乳食を与えていたところだった。
「ヤムチャ、プーアル、元気だった?」
 ブルマはヤムチャとプーアルの姿を見ると頬笑みをうかべてそう言った。

 あいかわらずブルマはきれいだ。
 ヤムチャはつい数カ月前に会ったばかりというのに、ブルマの笑顔に魅了される自分に気がついていた。

「ああ元気さ。そういえばベジータがいないみたいだが、帰って来たのか?」
 ベジータの気配がまったくないのでヤムチャは不思議そうに聞く。

 奴のことだから戦いに参加しないわけはないのだが……

「昨日帰って来たわよ。でもすぐ出て行ったけど」
 ブルマは淡々とそう答えたが、その表情は柔らかった。

 あんなに不安そうだったのに、奴に会うとこうまで変わるのか。

 ヤムチャはすこし寂しそうに微笑むと、トランクスに目を向ける。

「大きくなったな。トランクス」

 口の周りにおかゆをつけたトランクスは以前みたよりもすこし大きくなっていた。
 ヤムチャがトランクスの頭を撫でてると、ブルマがふいに何かを思いついたように悪戯な笑みを浮かる。

 嫌な予感がするぞ……

「ねぇ、ヤムチャ。これから人造人間が現れる島に行くんでしょ?私のジェットで一緒に行かない?」
 ブルマは歌うようにそう言った。

「え?!」

 またまたブルマは恐ろしいことを言う。
 好奇心旺盛なのは母親になっても変わらないらしい。
 
 しかし、さすがに今度の戦いはいままでとは異なる。
 未来から来た少年−−あのフリーザを簡単に倒した少年が恐ろしい二人組という、強敵が現れるのだ。

 ヤムチャがブルマの気持ちをなだめようと口と開こうとしたが、それより先にブルマが口を開いた。

「島には孫くんも来るんでしょ。孫くん、めちゃめちゃ強いから大丈夫でしょ。危なくなったら早めに逃げるから。お願い!」
 ブルマは上目遣いで両手を合わせて、ヤムチャにお願いした。

 その姿は昔から変わらない、ヤムチャの愛するブルマだった。
 ヤムチャはため息をつくとうなずいていた。

「じゃあ、支度するわね。ほらトランクス行きましょ。お披露目だからかわいい服を着ましょうね」
「え?!トランクスも連れていくのか?!」

 予想外の言葉にヤムチャは声が裏返る。

「当ったり前よ〜」
 ブルマはそう言って、踊るような足取りでトランクスを抱きかかえキッチンを出て行った。

 そのブルマの後ろ姿を見ながらヤムチャはただうなだれるしかなかった。

 俺は一生、こんな風にブルマに振り回されるんだろうな……

 ヤムチャは頭痛を覚えながらもこういう愛し方も俺らしいかと、妙に納得していた。


 完


posted by ありま at 12:27| ベジブル以外のSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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