2013年09月10日

『永遠の片想いーヤムチャ 1』 UP

またまた発見。
これで最後になります。
3話くらいにまとまると思います。

永遠の片想いのヤムチャバージョンです。
でも『永遠の片想い』を読んでなくてもわかる内容になってます。

興味のある人はどうぞ。

4年前、すっごい下手くそ。
ってことは今はまだましなんですね。
ちょっとは成長していることがわかりました。
おかげで結構手直ししました。

ありま氷炎 

腕の中のブルマは依然抱いた時よりも軽く感じられた。
 連日の重力室の修理やベジータの看病でろくに食事をとっていないのだろう。

 研究室で倒れたブルマを腕に抱き彼女の部屋に向かいながら、ヤムチャの心中は穏やかじゃなかった。

 奴のために体を壊すまで重力室を作るブルマ。
 どうしたって言うんだ。
 昨日もディナーと鉢合わせた時、通常なら怒りくるって
 俺を罵倒するところ、静かに店を出て行った。

 まさか……な。

 ヤムチャは部屋のスライドドアを開くとベッドにブルマをそっと寝かせた。

    *  *  *

「ん……?」

 ヤムチャが目を開けるとそこには少し驚いた顔のブルマがいた。

(ブルマの寝顔を見てるうちに寝てしまったのか……)

「あ、ブルマ。起きたのか?大丈夫か?」
 ヤムチャは頬笑みを浮かべてそう聞く。
「ずっとついててくれたんだ。ありがとう」
 ブルマはぎこちない笑みでそう答えた。
「起きたらすぐ謝りたくって」
 ヤムチャはそう言いながらブルマの顔を見つめる。

 顔色が悪いようだ。
 頬に涙の跡が見える。

「いやな夢でもみたのか?」
 ヤムチャは彼女の濡れた頬をそっと手でなでた。ブルマはその手に自分の手を重ねる。

「昨日の、昨日の彼女は誰なの?」
 ブルマはそう言ってヤムチャを見つめる。
「アルバイト先の子だよ。彼女の家に居候してるって言いづらいだろう。それで、」
「本当のことを言ってよ!あの子、あなたのことを好きだわ。わかるわ。それぐらい。だから昨日私を追ってこなかったんでしょ」

 ブルマはヤムチャの言葉を最後まで聞かず叫んだ。
 
 その瞳は涙で濡れていた。

 そうか。
 俺のせいで泣いたんだ……

 ヤムチャはブルマの濡れた青い瞳を見つめてゆっくりと口を開く。

「彼女から告白されたことがある。でもそれだけだ。あの子は親兄弟がいないんだ。それで心配になって、」
「ヤムチャはいつもそうよ!私のことはいつもほっといて別の子の心配ばかり」

 ブルマは再度ヤムチャの言葉をさえぎってそう言った。
 その顔は蒼白でいつもと様子が違っていた。

「ブルマには両親がいるだろう。あの子は一人なんだ。ほっとけなかった。それにブルマは俺がいなくても大丈夫だろ?」
 ヤムチャはブルマの頬を安心させるように両手で包む。

「何も知らないんだから!私だって、大丈夫じゃないときがあるし。ヤムチャに側にいてほしいときがあるのに」
 ブルマはヤムチャの手を振りほどき、叫ぶ。
 こんなに不安でいっぱいのブルマをヤムチャは初めて見た気がした。

「ごめん、本当にごめん」
 ヤムチャはブルマをあやすように抱きしめる。
「でも俺が一番愛してるのはブルマなんだ。わかってくれ」
 ヤムチャはブルマの耳元でそう囁いた。しかしブルマは身をよじってヤムチャの腕から逃げる。

「信じないわ。もういやなの。嫉妬で馬鹿になる私は嫌なのよ」

 その青いサファイヤのような瞳から涙があふれていた。
 俺のせいでブルマが泣いてる……
 ヤムチャはブルマを再び強引に抱きしめた。

「ブルマ、結婚しよう。結婚すれば安心するはずだ」
「嫌、私信じられないもの。結婚してもきっとあなたは私の二の次にしてほかの子の心配をするわ」

 ブルマはその胸に抱かれていながら、ヤムチャを見ようとしなかった。

「愛してるのはブルマだ。信じてくれ」
 ヤムチャはブルマの耳元で懇願するように囁いた。しかしブルマはヤムチャの言葉に答えず、ただ両手でヤムチャの抱擁を拒否した。

「私たち、別れましょ。私はあなたが別の子の側にいる間、待つのに疲れたわ。ヤムチャも西の都に来て変わったわ。私がいなくても大丈夫でしょ」

 ブルマはそう言って俯く。その声は先ほどまでの感情的な声とは違い、静かだった。
 ヤムチャからブルマの表情は見えなかった。
 しかしヤムチャはこんな形で別れたくなかった。

「信じてくれないんだな。俺の気持ちを」
 ヤムチャはそう言ったが、ブルマは俯いたまま見ようとしなかった。

 ブルマ、どうして俺を見てくれないんだ。
 目の前にいるのに、なぜか彼女が遠く感じられた。

 ヤムチャは強引にブルマを抱き、彼女の不安、自分の不安を取り除きたかった。しかしブルマに触れられなかった。触れると彼女が壊れてしまうような気がしたからだ。

「わかったよ。別れよう。でも3年後、人造人間を倒した後、まだお前が俺のことを好きだったら結婚してくれ」
 ブルマはそのヤムチャの言葉にぴくっと体を動かした。
 しかしヤムチャに視線を返すことはなかった。

 俺じゃだめなのか……

 ヤムチャは悲しい微笑みを浮かべるとブルマの頬にそっとキスをして、部屋を出て行った。


posted by ありま at 10:57| ベジブル以外のSS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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