2011年05月29日

変わらぬもの 1の2

「…はあ…」
 ブルマは鏡を見るとため息をついた。
 そして鏡の中にいる自分を再度見つめる。

 たるんだ頬に、目じりによる皺。

 数えたら数え切れないほどの老いを感じさせる顔。

 鏡に映る愛しい男は今日も老いも感じさせない美しい肉体を見せている。

「おい、ブルマ。出かけるんじゃなかったのか?」
 戦いの日々が終わり、地球人として暮らすようになった男はそう聞いた。
 ブルマはため息をつくと振り向いて男を見る。

 男の名はベジータ、
 惑星ベジータ生まれの男で、サイヤ人である。
 地球に来たばかりのころは、地球人を虫けらのように思っていたようだが、今や普通に地球人として暮らしているようだった。

「母さん、母さんは行かないの?」
 そう言いながら自分そっくりの娘、ブラが顔を見せた。
 ブルマは娘の顔をみて、再度ため息をつく。

 張りのある顔、胸、そしてなめらかな肌。
 自分が失ったものがそこにすべてあった。

「父さん、準備はできたの?」
 そう言ってベジータに腕を絡ませるブラをみて、ブルマは胸が痛むのがわかった。
 
 そう、それは嫉妬。

 自分の娘に嫉妬してどうするのよ。

 ブルマは気づかれないように小さくため息をつくとブラに微笑んだ。

「今日、私は遠慮しておくわ。2人で楽しんでらっしゃい」
「?どうして?」
「いいの、いいの。ベジータ。ちゃんと悪い虫がつかないように見て置いてよね」
「わかってる」
 ベジータが何か言いたげにブルマを見たが、ブルマは気づかないふりをした。

 年取った自分、若い夫。
 一緒にいたいのに、一緒にいると自分の老いを感じ、嫌われているのではないかと怖くなった。

 そういえば、最近、夜も別だしね。

 ブルマは2人を見送りながらそう思い苦笑した。

 こんなおばさんになった私なんて、抱きたくもないかしら。

 ブルマは玄関から研究室に向かいながら、つんと鼻が痛くなるのがわかった。
 なぜか泣きたくなった。

 年を取ると涙腺も弱くなるのかしら?

 ブルマはそう思い、また気持ちが暗くなるのがわかった。

 研究室に入り、パソコンの電源を入れる。
 ふいに見覚えのある設計図がふいに現れ、ブルマは驚いた。

 トランクスかしら?
 人造人間の設計図なんかどうする気なのかしら?

 画面に映し出された設計図は16号のものだった。
 未だに色あせない技術力、ドクターゲロのことは嫌いだが、その頭のよさには感服していた。

 まあ、勉強しておくにはいいわよね。

 ブルマは昔のことを思い出しながらも、自分には必要がないものだと設計図を閉じた。そして現在進行中のプロジェクトのフォルダーをクリックする。

 トランクスが会社に入るようになり、ブルマの負担はかなり減った。
 こうやって研究に没頭することができるようになっていた。

 最近のブルマは研修室に籠ることが多かった。
 それはベジータに会うのを避ける意味もあった。
 老いた自分を見せたくなかった。

 どんなに着飾っても、化粧しても老いは隠せなかった。

 身近に自分そっくりの若い娘、ブラがいれば、なおさら老いは目立った。

「あ〜だめだ」
 気持ちを切り替えるために研究室に来たのに、ブルマの気持ちは晴れなかった。
 娘ブラが楽しそうにベジータと買い物する姿が浮かび、ブルマの気持ちをかき乱す。

 私って最低だわ。

 ブルマはそんな自分が嫌になり、顔を両手で覆う。 

 泣くならいまね。

 帰ってきたら笑顔でいなきゃ。

 ブルマはそう自分に言い聞かせる。
 そして涙が瞳から一粒一粒零れ始めた。

 本当、神龍に願って若くしてもらおうかしら。
 不老不死だと困るから、不老にしてもらうとか。

つづきへ
http://arimahien.seesaa.net/article/205359563.html?1306605167



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posted by ありま at 02:45| Comment(0) | DB 2次小説 1周年記念短編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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