2011年04月26日

ムカシノオトコ9

 精神と時の部屋から出てきたトランクスを待っていたのは、機嫌の悪いベジータだった。ベジータに怒鳴られるのも随分慣れてきたが、やはり機嫌が悪いベジータにはあまり近づきたくないのが心情だった。
 しかしベジータはトランクスを模擬戦の相手にし、数日間、容赦なく攻撃を仕掛けていた。これなら精神と時の部屋で修行していたほうがましなくらい、過酷だった。
「と、父さん。少し休みましょう」
 トランクスがそう言うとベジータは舌打ちをしながらも超サイヤ人から普通の状態に戻り、神殿の床に降り立った。
「10分後再開するぞ」
 ベジータは同じく普通の状態に戻ったトランクスにそう声をかけると、水を飲むため神殿の中に入っていった。

「おい、トランクス。大丈夫か?」
 様子を窺っていたクリリンは、ため息をつき神殿の床に腰を降ろしたトランクスに近づいた。
「クリリンさん、大丈夫です。さすがに疲れましたが」
 トランクスはクリリンに笑顔を返しながらそう答えた。
「ああ。それならいいが。稽古なんだか、もう少しあいつも考えてすればいいのに」
「きっと、それくらい本気にならないと稽古にならないってことですよ」
「息子相手に本気になってもしょうがないだろうに」
 側にやってきた悟飯にあきれた調子でクリリンはそう返した。トランクスは二人の会話を聞きながら、ただ苦笑していた。

 フルパワーはさすがに出していないが、ベジータはかなり本気でトランクスと戦っていた。しかも攻撃には苛立ちが含まれており、トランクスは不可思議な気持ちでベジータの攻撃を受けていた。
(父さん……。やっぱりパワーアップしても悟空さんに敵わないから苛立っているのかな)
 トランクスは父がかなり力を上げているを感じていた。
 しかし精神と時の部屋から出て、悟空がカリンのところで見せた力を思い出せば、ベジータの力が勝っているとは思えなかった。


「いらついているようだな」
 神殿の中に入ってきたベジータに声をかけたのはピッコロだった。ベジータはピッコロを無視して、神殿の中の水瓶の水を飲む。
「孫に勝てないのが悔しいのか、それとも別の要因か?」
「貴様には関係ない」
 ベジータは吐き捨てるようにそう答えると神殿の建物を出た。
 遠くにトランクスの姿が見えた。クリリンたちを楽しそうに話をしている。精神と時の部屋に一日いたせいで髪がまた伸びていた。柔らかな髪は風にそよぎ、セルと戦う前に会ったブルマの姿を思い出させた。
(ヤムチャ……)
 ブルマがヤムチャを呼ぶ声が脳裏に響き、ベジータは顔を歪めた。
(俺様がなんであのクズ野郎に……)

「トランクス!トレーニングの再開だ!」
 ベジータは舌打ちをするとトランクスを怒鳴りつけた。
 精神と時の部屋にはもう入れない。地上に戻るとすれば重力室で修行するのが一番効率的だった。
 しかし、ベジータはあの男がいるであろう、カプセルコーポレーションには戻る気がなかった。


「おっす!」
「悟空さ!」
 カメハウスに現われた悟空の胸にチチは飛び込んだ。
「どこさ、行ってた!悟飯ちゃんは一緒じゃなぇのか?」
「ああ。悟飯は今神殿でデンデと遊んでるはずだ」
「デンデ?!誰さ、その人は」
「まあ、誰でもいいじゃねぇか。うちに帰ろう。オラ、腹へったぞ!」
「しょうがないべな。オラが美味しいもの作ってやるさ」
「サンキュ」
 悟空夫婦は周りが唖然とするのも構わず、そんな会話をすると、亀仙人達に手を振って一瞬でカメハウスから姿を消した。
「あいかわらず熱い二人じゃな」
 亀仙人は悟空夫婦が消えた空間をみて、そうつぶやいた。
 ヤムチャは悪寒がまだ続いていたのだが、寝ているわけも行かず、外で稽古していた。悟空の気を感じて、慌てて家の中に入ってきたが、時はすでに遅く二人の姿が消えていた。



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posted by ありま at 10:24| DB 2次小説 セルゲーム前 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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