2010年11月21日

きずな9

 べジータはじっとトランクスの顔を見つめた。
 また何か言われるのかとトランクスは表情を強張らせた。

 精神と時の部屋に入って8ヶ月が過ぎようとしていた。

「その髪はなんとかならんのか」
 べジータはふとそう言った。トランクスは顔を覆う前髪を払いのけた。
「地球人っていうのは本当不便な生き物だな」
 超サイヤ人化すれば髪が逆立つので邪魔にならないが、食事をしたり普通の状態のときには髪が顔を覆って、確かに面倒なことになっていた。
 トランクスは食料の入っている袋を縛っている紐を取ると、髪を結んだ。
「これで邪魔にならないはず」
 べジータはトランクスの言葉に何も答えず、乾パンをかじった。
 トランクスの髪は色は多少違うがブルマの髪質と同じだった。何かの拍子でさらさらとそよぐ様子がブルマを思い出させて気が散った。

「な、何ですか?」
 また見ていたのだろう、トランクスは訝しげにそう聞いてきた。
 べジータは舌打ちをすると、席を立った。
「トレーニングを再開するぞ」
「え、もうですか?」
 トランクスは慌てて乾パンやスープを掻きこむようにして食べる。そしてべジータの後を追って建物の外に出た。
 熱い空気が体を覆う。
「行くぞ」
べジータはトランクスに対峙すると超サイヤ人になり、さらに気を高めた。超サイヤ人の壁はすでに超えていた。
 しかしもっと上を目指したかった。
(カカロットがこの部屋に入ったら俺同様、簡単に超サイヤ人を超えれるはずだ。俺は奴より上をいく。俺様こそが宇宙一なんだ)

「トランクス、かかってこい」
 べジータの言葉にトランクスはうなずくと超サイヤ人化し、同じように気を高めた。

 白い空間で二つの光がぶつかりあう。
 時を刻む砂時計は静かに砂を落としていた。


「ブルマさん、これが頼まれていたものです」
 会社の研究室で緊急停止装置のリモートコントローラの仕上げにかかっているブルマに会社の技術者が声をかけた。
「ありがとう」
 ブルマは小さなカプセルを受け取りながら微笑んだ。その笑みに若い技術者は照れたように笑った。子供を持ったとは言え、ブルマの美しさは健在だった。
(このパーツを組めば完成するわ)
 ブルマはゴーグルをつけると再び視線を手元に向けた。


(なんだこの力は…)
 精神と時の部屋に入って10ヶ月がすぎ、トランクスは自分の中にある巨大な力を感じていた。
「どうした!トランクス!」
 べジータの厳しい声がして、エネルギー弾が飛んできた。体の底から力が溢れてきた。
「!」
 気がつくとべジータに向かって気を放っていた。それはべジータのエネルギー弾を飲み込み、べジータを襲った。
「父さん!」
 べジータの体を宙を舞い、地面に激突する。
 トランクスは心配げにべジータの側に降り立った。
「ふん」
 鼻を鳴らしながらべジータが立ち上がる。
(俺は父さんを超えてしまったかもしれない)
 再び構えをとるべジータを前にトランクスはそう思った。




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posted by ありま at 15:20| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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