2010年11月20日

きずな7

 べジータは舌打ちをした。
 吹雪の中、超サイヤ人化したまま、何かを探していた。

 ふいに攻撃を仕掛けられ、気を打ち返した。トランクスが口が血を吐き、宙を舞うのがわかった。

「くそっ。どこに隠れてやがるんだ」
 べジータは忌々しげにつぶやいた。先ほどの戦闘でぼろぼろだったのに更に気を喰らい、トランクスは気を失ったはずだった。
 -40度の中で気を失えば、いくらサイヤ人と言え、危険だった。しかも怪我をしているはずだった。
「トランクス!どこにいやがるんだ!」
 べジータは大声で叫んだ。その声には焦りが混じっていた。胸が締め付けられるような気分だった。
(ちくしょう!)
 べジータは不安定な自分の気持ちにいらだっていた。
(ブルマといい、トランクスといい、この俺をいらだたせやがって)

「くそ!どこにいやがるんだ!」
べジータの気が一気に高まった。そしてべジータを中心に回りの氷山が吹き飛ぶ。吹雪がその一帯だけやんだ。
「トランクス!」
 べジータは少し離れたところに薄紫の髪を見た気がして、その方向へ跳んだ。そしてトランクスの姿を確認して息を吐いた。その体を背負うと建物へ帰るために飛んだ。
「と、父さん?」
 トランクスはうっすらを目を開いてそうつぶやいた。背中から温かい体温が伝わる。べジータはただ無言で飛んでいた。


「べジータ」
 甘い声がべジータを呼ぶ。べジータはベッドの上にいた。その横ではブルマはべジータをじっと見つめていた。
 人造人間と対戦するために宇宙から帰ってきたべジータを迎えたのは嬉しそうなブルマだった。
 ブルマの気持ちは痛いほどわかっていた。べジータ自身、認めたくないがブルマの体を抱いた時、安らぎを覚えたのは確かだった。

 初めてブルマを抱いた時は二度を会うつもりがなく、ただ気持ちに動かされ抱いた。2度目に抱いたときは自分自身が安堵したかったからかもしれない。あの柔らかな体に包まれていたかったかもしれない。
(俺としたことが馬鹿なことを…。夢に違いない。こんな馬鹿げたことを考えるのは……)
 目の前のブルマは嬉しそうに微笑んでいる。そしてべジータに口づけた。甘美な口づけ。べジータはその口づけに答えた。

「ん?」
 ブルマはかばっと机の上で伏していた頭を上げた。
(夢?)
 ブルマは研究室にいる自分を確認した。
(私ったらなんて夢みるのよ。欲求不満ってやつかしら?でも夢の中のべジータはやたらリアルだった。まるで本当に側にいるかのようだった。夢なのに…)
 ブルマは自分の唇に触れた。
(夢じゃなかったかもしれないわね)
 ブルマはふと笑うと背伸びをして、再びパソコンに向き直った。


 べジータはうっすらを目を開いた。
 目の前のベッドの上のトランクスは気持ちよさそうに寝ていた。
(夢か…。下らん夢だな)
 トランクスを建物に運びいれ、温めるため部屋の中で火と焚いた。その火の番をするために壁に寄りかかっていたら、寝てしまったらしい。
 建物の外を見るとすでに吹雪は止んでいた。
 べジータはゆっくりと立ち上がった。夢の中で抱いたブルマの感触がまだ体に残っているようだった。
(下らんな…)
 べジータは鼻を鳴らすと体からその感触を洗い流すため、バスルームへ向かった。







posted by ありま at 02:07| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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