2010年11月17日

きずな1

 母さん……

 トランクス?

 大きくなったトランクスに呼ばれた気がしてブルマは顔をあげた。
 森の中にいた。

 母さん‥ごめん。

 再びトランクスの声が聞こえた。

「何?何、謝ってるの?」
 ブルマは不安で胸がいっぱいになるのがわかった。トランクスの声がした方向へブルマは走り出す。

「!」
 森を抜けるとそこには肌を晒した大地が待っていた。そしてブルマはべジータの姿を見つけた。その体は力なく微動もしてなかった。着ている戦闘服がぼろぼろだった。
 眩暈がした。
「母さん、ごめん」
 はっと気がつくと側にトランクスが倒れていた。体から血を流して、自分に向かって手を伸ばしていた。
 ブルマは伸ばされた手を掴んだ。ブルマの手にべっとりと血がつく。
「トランクス、どうしたの?べジータは?べジータは死んでしまったの?」
 自分の声がかすれているのがわかった。トランクスは焦点の合わない目をブルマに向けた。
「母さん。僕は、俺は父さんを守れなかった」

「ふん、お前も父の後を追うんだな!」
 そんな声が聞こえて眩い閃光が空から降ってきた。

 ブルマははっと目を覚ました。
 ぼんやりと目を開けると薄暗い研究室にいるのがわかった。

「夢ね……」
 ブルマは自分の胸を押さえながらそうつぶやいた。手にまだトランクスに掴まれた感触が残っているようだった。
「リアルな夢だわ。嫌な夢‥」
 昨日クリリンに18号などの設計図を渡されてから眠らず、ずっと研究室に籠ってパソコンに向かっていた。いつの間にか寝ていたんだわ。
 ブルマは立ち上がると背伸びをした。灰色の研究室の中でトランクスのゆりかごやおもちゃが異彩を放っていた。
(今夜はお父さんとお母さんにトランクスをお願いしてて正解だったわ)
 ブルマはふとそんなことを思った。
 研究に没頭してしまうと周りが見えなくなるのが悪い癖だった。もうここに何時間いるのかわからなかった。

「これもドクターゲロのせいだわ」
 ブルマはそう言うとチカチカを光を放つパソコンを睨んだ。画面にはブルマが打ち込んだ18号のデータが映っていた。
(頭にくるほど複雑だわ)
 再び作業に戻ろうと椅子に座るとふいにお腹がなった。頭は気にしないが体は正直らしい。

「そういえば今日ご飯食べてなかったっけ」
 ブルマは自分の無頓着さに笑いがこみ上げてきた。そしてふとベジータ達のことも思った。
「あの二人もお腹をすかせてるかしら?」
(確かクリリンがトランクスがべジータに修行を頼みに行ったって言ってたわよね。あのべジータがトランクスと素直に修行するようには見えないけど、一緒にいるのは確かだわ。先ほどみた嫌な夢も忘れたいし)

「行ってみましょ」
 ブルマは口元にいたずらは笑みを浮かべると、研究室の棚からいくつかの貯蔵用カプセルを取った。そして大量の食料を確保するため、キッチンへ軽い足取りで向かった。




posted by ありま at 19:54| DB 2次小説 人造人間編ーセル編A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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